【県立図書館でのIPM活動を紹介します①】

〜皆さん“IPM”をご存じですか?〜

 IPMとはIntegrated pest managementの略で、「総合的有害生物管理」と訳されます。
これは、農業分野で活用されてきた考え方です。
 農業分野では、農作物を加害する昆虫などを駆除する為に農薬を大量に使用した時期
がありました。この事は、農作物に付着した残留農薬に起因する人体への影響や土壌・
河川と言った環境をはじめとする生態系への影響が懸念されるなどの社会問題を呼び起
こしました。
 
 この反省から、農薬だけに依存せずに他の防除手段を複合的に取り入れたり、予測さ
れる加害因子を予防するなど、農作物を取り巻く環境を総合的に管理する事で、使用する
農薬量を経済活動上許容できる範囲にまで減らす試みがなされてきました。
 
 実はこの50年ほどの間、博物館や美術館と言った文化財を保存する施設でも、文化財
を加害する昆虫やカビを防除する為として多量の化学薬剤が使用されてきました。今日、
この化学薬剤の影響が懸念され、文化財を取り巻く保存環境の管理にIPMの考え方を応
用する取り組みが始まっています。
 
 次回は、文化財保存にIPMの考え方が取り入れられた背景をもう少し具体的に紹介し、
併せて図書館施設である当館が何故IPMに取り組むのかを考えます。

☆県立図書館で見つけてみよう☆ 
 ・『沈黙の春』、原題“Silent Spring”、レイチェル・カーソン著、新潮社、
  平成13年刊(新装版)。
  当館での請求番号は、519/C22となります。
 ・『複合汚染(上・下)』、有吉佐和子著、新潮社、昭和50年刊。
  当館での請求記号は、〔上巻〕F/A78/1〔下巻〕F/A78/2となります。
 ・『環境保全型農業事典』、石井龍一(代表)編集、丸善、平成17年刊。
  当館での請求記号は、610.3/Ka,56となります。※参考書の為、閲覧室
  でのご利用となります。