映画『一命」 その1(原作者滝口康彦さんと「異聞浪人記」)

東日本大震災による被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。

 こんにちは。

 5月のカンヌ国際映画祭では、残念ながら受賞を逃してしまいましたが、映画『一命(いちめい)』の全国ロードショーが10月15日(土)から開始されます。

・映画『一命』公式サイトは:
http://www.ichimei.jp/

 映画についてはまた紹介したいと思いますが、原作「異聞浪人記(いぶんろうにんき)」(サンデー毎日大衆文芸賞受賞)が先週発売の「小説現代」8月号(p317〜337 講談社)に“伝説の名作を再録!”として掲載されました。
 市川海老蔵さん、瑛太さんの共演による2度目の映画化、カンヌ国際映画祭への出品、それに伴う『一命』(講談社文庫)の刊行等で話題になったということに関連するものかもしれませんが“伝説の名作を再録!”として安西水丸(あんざい みずまる)さんの解説も添えられています。こうやって、多くの方が滝口作品に関心を寄せていただくことは佐賀人として大変嬉しいことです。

・『一命』(講談社文庫)は:
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2770091

・「異聞浪人記」とは:http://www.nishinippon.co.jp/nnp/book/kyushu100/2007/07/post_76.shtml

 安西水丸さんは、“滝口康彦作品の魅力”として「人の人生、すべてハッピーエンドでは終わらない。無念なり、そうおもっても自分の義を通して死んでいく。人の上に立ったからには、すべての責任は自分にあるといった信条、滝口作品に描かれる人物のそういった潔ぎよさには心が震える。」(「小説現代」8月号 p318)とし、「今の日本人には何としても、滝口作品を知ってほしい。」(「小説現代」8月号 p318)と述べられています。

 滝口康彦さんの作品は、これまで3回映画化されています。
 今回、『一命』の原作となった「異聞浪人記」は、昭和37年(1962)に「切腹」として、昭和42年(1967)には「拝領妻始末(はいりょうづましまつ)」が「上意討ち−拝領妻始末−」として映画化されました。

 滝口康彦(1924〜2004)さんは、佐賀県多久市に在住し、時代小説家として九州を舞台とした数多くの作品を世に送り出された。初めて直木賞候補となった「高柳父子」から「かげろう記」「霧の底から」「仲秋十五日」「日向延岡のぼり猿」「主家滅ぶべし」まで計六回も直木賞候補となっています
 残された作品は、時代小説の枠に留まらず、普遍性をもった小説として今でも高い評価を受けています。
 かなうことなら、今回の映画化をどのように思われているのかお話を伺いたい気がします。

滝口康彦さんについては:
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BB%9D%E5%8F%A3%E5%BA%B7%E5%BD%A6

 滝口康彦さんの文学碑は、没後3年目の平成19年(2007)、佐賀県多久市西渓公園内に建設されました。

滝口康彦文学碑

      文学碑(南から 西渓公園内)

『ペン置けば窓の広さの忘れ雪 康彦』

      文学碑銘板(『ペン置けば窓の広さの忘れ雪 康彦)

・文学碑については:
http://ameblo.jp/kanmonya/entry-10079870475.html
http://sagasaishin.blog117.fc2.com/?m&no=1242