直心影流剣術に関する資料の調査を行いました

 こんにちは。 

 佐賀県立図書館では、郷土の歴史を解明するうえでかけがえのない古文書等の歴史資料調査を行っていますが、先日、鹿島神傳直心影流(かじましんでんじきしんかげりゅう)剣術(以下、直心影流)に関する資料を調査させていただきました。
 これまで大切に保管されてきたご家族の方々に深く感謝するとともに、調査の仲介の労をとっていただきました関係者の方々にお礼を申し上げます。

 佐賀藩の剣術というとタイ捨流と(柳生)新陰流によって語られることが多く、直心影流についての資料はこれまで調査されてきませんでした。今回の調査では、兵法目録、目録添状、兵法伝記、居合之次第、伊呂波理哥などを確認することができ、佐賀藩に伝えられた直心影流が少し見えてきました。

 直心影流は、竹刀と防具を使用した竹刀打込稽古を導入した流派で、流祖を杉本備前守紀政元とするものと第7代の山田光徳とする説があるようです。
 第8代の長沼国郷を経て、第9代長沼正兵衛綱郷は沼田藩に仕官したとされています。直心影流の主な門人には、男谷精一郎信友、勝海舟小栗忠順等の人物が知られていま
す。

 調査させていただいた系図資料によると、明和年中(1764〜1772)に第9代綱郷の子小四郎宗郷が八代藩主鍋島治茂に十人扶持で召し抱えられています。
 文化元年(1804)、宗郷の嫡男五郎左衛門利郷が佐賀に移り、剣術指南を仰せつけられています。直心影流印可も行っていたようで、佐賀藩の門人には中島忠右衛門寛連がいました。

 他家の伝書によれば、弘化元年(1844)、寛連は門人名尾左馬之允に兵法書を与えています。
 

 平成20年度企画展「肥前の古武道」を開催しましたが、今後も県内の古武道に関する資料調査を継続して行っていきます。

*企画展「肥前の古武道」については:
http://www.pref.saga.lg.jp/kentosyo/hizennokobudou/kikakuten.htm