古文書講座(中級編)を開催しています(その1)

10月9日(土)から古文書講座中級編が始まりました。

今月から来年3月まで、月1回のペースで講師の伊藤昭弘先生(佐賀大学地域学歴史文化研究センター准教授)と参加者の方々が一緒にテキストを解読していきます。

今年度のテキストは、昨年度から引き続いて武藤信邦(文政7年(1824)〜明治33年(1900))の自伝「信邦一代大略記」(袋武藤家資料)ですが、この自伝や息子勝一郎からの書簡が佐賀新聞(10月6日)に紹介されたこともあり、60名の方々に参加していただきました。
   
袋武藤家資料は、佐賀藩の手明鑓(てあきやり)というどちらかといえば下級武士であった武藤信邦とその息子勝一郎に関わる幕末から明治にかけての資料です。その中でも「信邦一代大略記」は、信邦が書き残した自伝であり、社会情勢、仕事、家族のことについて事細かに記録しています。

昨年度は、出生から嘉永7年(1854)正月、信邦31歳までを読み進めました。武藤家の相続、タイ捨流剣術への入門、実父の死去、川副代官所勤務、そして、嘉永6年(1853)に伊王嶋・神ノ嶋へ最新鋭の大砲が据え付けられた時には最初の警備に当たっていますし、プチャーチンの来航も直面していました。

今回は、信邦32歳、嘉永7年(1854)3月〜7月までの5ヶ月間を解読しただけでしたが、ロシア船の再々来航により早速立を仰せつけられるも都合により断ったこと、川副代官所手許役差次に仰せつけられたこと、実兄大庭忠之進が亡くなったため残された5人の子供達の行く末を細かく書き残しています。

 伊藤先生による当時の政治状況や社会情勢についての解説、古文書の読みについての丁寧な説明によって解読が進められています。古文書の解読だけではなく、幕末・維新期の歴史に関心がある方にも興味深いお話しが聞けると思います。

なお、袋武藤家資料については、資料を所蔵しておられるご子孫の方のご配慮で、複製本を県立図書館郷土資料室にも排架しておりますのでご利用いただけます。

講座の様子
(写真)講座の様子