古文書講座(初級編)を開催しています その3

 こんにちは。
 9月4日(土)、第5回古文書講座(初級編)を開催しました。
 初級編も今回で最後でしたが、最後まで沢山の方に参加していただきました。猛暑の中ありがとうございました。
今回も前回と同じように、基本的な変体かなやくずし字に加えて人名や数字の復習を兼ねて「御上京御手許御整物控(ごじょうきょうおてものおととのえものひかえ)」(県立図書館所蔵資料)を参加者の方々と一緒に読んでみました。

 この資料は、明治元年(1868)12月〜明治2年(1869)2月までの約3ヶ月間、十代藩主直正(閑叟)公が佐賀から大坂(大阪)、京都、東京に滞在し、佐賀に戻るまでの出納を記録したものです。日時、金額、出費内容、人物についての記録が中心ですから、数字や人名について学習するにはうってつけのテキストです。
 今日は、時間の都合で「御預り金」(収入)と「御整物」(支出)の一部のみ読んでみました。
 出発時の預り金は、221両2歩1朱。御整物は、合計221両2朱100文。支出内容は、手まり、羽子板、真鍮(しんちゅう)たらい、銘酒、梅漬、薬代、茶代、食事代、さらにはお年玉等にいたるまで一文たりとも書き漏らすまいとの意気込みが伝わってくるような細々とした記録です。
 また、明治元年には明治改元戊辰戦争があり、明治2年1月には版籍奉還薩長土肥の藩主が連署して政府に願い出ています。直正(閑叟)公の京都や東京での行動がうかがわれる貴重な資料です。
なお、明治元年の1両は12,000円(米換算)とする研究者もいますので、その説に従えば約265万円程度の支出であったと言うことになります。

猛暑の中、たくさんの方に参加していただきました
猛暑の中、たくさんの方に参加していただきました。