県立図書館でのIPM活動を紹介します③

佐賀県立図書館での取り組み

県立図書館では、現在公開閲覧室や書庫での温湿度測定と昆虫などの生息状況を確認する為のモニタリングを実施しています。博物館や美術館と異なり資料保存の専門家が居ない当館でもあり、専門的な知識や技術は乏しいものの、県民の皆様の大切な資料を適切に保存する為に、職員自らが取り組んでいます。
皆様は家庭で快適に生活する為に、暖房や加湿器を使用する事があるかと思いますが、資料である本やフィルムもまた保存に適した環境があります。その為、過度な温度・湿度の変化や資料を食べたり汚損させる虫の生息状況を確認する事は、IPMのまず第一歩となるのです。
得られた情報を職員間や運営に関わる業者等関係者で共有する事で互いに問題意識を持ち、その都度環境を改善する為に資する事が必要ですが、勉強会として始まった当館の取り組みはまだ軌道に乗っておらず、少しずつですが“試行錯誤”しながらの活動となっています。

当館は県の古文書センターとしての役割も担っています。寄贈、寄託などで当館に保存させて頂く事となった膨大な歴史資料が収蔵されています。これらの資料は傷みやすく、後世に確実に伝える為にも保存環境を良好に維持する事が求められていますので、この様な観点からも今後の当館の取り組みを見守って頂ければと思います。
ちなみに、現在の書庫の温度は15℃位となっております、今後の経過を一緒に見守って下さい。

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書庫や公開閲覧室では温湿度環境を把握する目的で計測器、モニタリングを目的としたトラップを設置しています。閲覧室をご利用の際や書庫探検の折に是非見つけてみて下さい(お手には触れないで下さい)。

公共財であるからこそ、利用者の皆様と一緒に考えていければ・・・、まず職員が率先して取り組む事が重要であると考えています。

☆県立図書館で見つけてみよう☆ 
 ・『文化財害虫事典』、文化財研究所東京文化財研究所編、クバプロ、平成16年刊。
当館での請求記号は、R486/B,89となります。
・『家屋害虫事典』、日本家屋害虫学会編、井上書院、平成7年刊。
  当館での請求記号は、R486/KA,61となります。