絵本作家・山口マオさんご来館

東日本大震災による被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。


山口マオさん

 3月23日のお昼頃、絵本作家の山口マオさんがひょっこり児童室にお見えになりました。
 3月21日(月)にエスプラッツホールで開催された「版画体験」と講演会「絵本作り『わにわに』の舞台裏」の為に来佐され滞在されていたのです。
そこで、21日の講演会のおはなしと山口マオさんの作品を紹介したいと思います。
講演会では小風さちさんの「わにわに」のおはなしに、マオさんが挿絵を描くことになったいきさつや、シリーズ1冊1冊ができるまでのエピソードを興味深くそして楽しく伺うことができました。
 絵本をスライドに映し、会場の人に読んでもらいながらエピソードが紹介されていきました。
 最初の絵本「わにわにのおふろ」は、マオさんが「読みたい人」と言われてもだーれも返事がなく、マオさんと目の合ったお母さんが読んでくれました。
 「わにわにのごちそう」「わにわにのおおけが」といろんな方が絵本を読んでくださり、最新の「わにわにとあかわに」は小学生の女の子が元気に手を挙げ読んでくれました。

 文を書いてる小風さちさんも、絵を書いた山口マオさんも、「わにわに」シリーズ中ではこれが一番好きという「わにわにのおでかけ」は、マオさん自身が読んでくださいました。
 橋にかかっているちょうちんに書いてあるお店は、実際マオさんが住む町にあるお店だとか、「伊乃松」はおじいちゃんの名前ですとかいうエピソードが話され、「実は・・・最初のページでわにわにのお家の壁は木目で畳の縁の柄は・・・最後のページを書くときすっかり忘れてこんな風に書いてしまいました。でもそれほど苦情もなくほっとしているんです。」なんて話も飛び出しました。

 「わにわに」シリーズはこども達にとても人気があり、おはなし会でも子ども達は楽しそうに聞いてくれます。
 お母さんたちの読んでくれるおはなしを聞きながら、私は自分の読み方との大きな違いを感じました。
 

 それは、“間”です。
 言葉と言葉の“間”、ページをめくる“間”。
 私は、おはなし会では聞いている子ども達を見ながら“間”を取ります。
 でも、お母さんの“間”は、聞いている子どもとの間に自然に生まれてきたそのお家ならでは“間”です。


 子どものドキドキする気持ち、楽しい気持ちを受け止めている中でできた“間”を感じたのです。
 お母さんの読む声に、「じゃばじゃばじゃば」とお湯が溜まっていく速さも、「ぽくんぽくん」というお湯に浮かべるおもちゃの音もこれはお家にある音なんだと想像できました。
 それからそれから、わにわにがシャワーをマイクに「うりうりうりうり オーイェー」と歌うお母さんの声は、子どもたちと一緒にお風呂に入りながらこうやって歌っているのかなとその姿が目の前に浮かぶようでした。
 子どもたちに一番人気だと言われた「わにわにのおおけが」でも、「きって おってはって」と読んでいるお母さんの声は、いつもそうやって子どもと一緒に過ごしている姿が目に浮かんでくるようでした。


 作家さんのいろんな思いの詰まった絵本は、一つ一つの家庭に届いてそのお家ならでは絵本になっていることを気付かせてもらった瞬間です。

 こんなふうに子ども達はお家で絵本を読んでもらっているんだと思った時、もっともっとたくさんの素敵な本を紹介したいという思いに駆られました。「いないいないばあ」や「いいおかお」を読んでもらって育った子ども達が、今は親になり「この本、小さい頃読んでもらっていました」と、自分の子どもに読んであげています。
 今わにわにさんを読んでもらっている子ども達もやがて親になり、おかあさんと同じリズムで「きって おって はって」と読んでもらった時を思い出しながら、この本を読んであげる日がくることでしょう。


 そうして絵本は、10年20年30年と読み継がれていくのだと思います。


 春休みです
 佐賀県立図書館児童室へ是非お出かけください。
 そして、たくさんの素敵な絵本と出会ってください。お待ちしています。
 以下 山口マオさんの作品を紹介します。
 今回、「オオカミがやってきた!」「かさをかしてあげたあひるさん」「こどものとも年少版 わにわにとあかわに」に山口マオさんのサインとイラストを書いていただき、佐賀県立図書館オリジナルの絵本になりました。
マオさん絵本

「わにわにのおふろ」 120528385 E /ヤマ /赤
「わにわにのごちそう」120575659  E /ヤマ /赤
「わにわにのおでかけ」120585807  E /ヤマ /赤
「わにわにのおおけが」120639471  E /ヤマ /赤
こどものとも年少版 わにわにとあかわに」160104683 01 /コ /P
「オオカミがやってきた!」120631536  E /ヤマ
「はすいけのぽん」120583745  E /ヤマ
「はっぱみかん」 120499678  E /ヤマ
「トコロウとテンジロウ」 120577168  E /ヤマ
「ふくろうのそめものや」 120446653 E /ヤマ
「なりました」 170577795
「なんでもやのブラリ」120563895 E /カタ
「かさをかしてあげたあひるさん」120637731  913 /ムラ
「そらとぶこくばん」120517172 /913 /ネジ
「ふしぎな笛ふき猫」120536289 913 /キタ
「国境まで10マイル」120594619  933 /ライ

 本を借りたい方は、どうぞお気軽に職員におたずねください。