郷土研究講座(第2回)を開催しました

 こんにちは。

 佐賀県立図書館は、郷土の歴史と文化に関する研究成果を県民の方々に広く紹介し、理解を深めていただくために郷土研究講座を開催しています。今年度第1回目は「佐賀平野に残る中世文書の世界」として残された数少ない中世期の文書から荘園と社寺の関係を丹念に洗い出し、これまで理解されていた荘園と社寺の関係性にあらたな視点を提示していただきました。

 第2回目は、『坂の上の雲』の舞台ともなる日露戦争の記事を地元の佐賀新聞から丹念に拾い出し、そこから見えてくるお話しを市丸利幸(いちまる としゆき:佐賀近代史研究会員)さんにお願いしました。

 講演のため、講演内容についての詳細な資料の他、現在刊行準備中の『佐賀新聞に見る佐賀近代史年表』(明治編下)の一部を配布していただきました。
 ありがとうございました。

 以下、講演の内容を一部紹介します。

・はじめに資料についての説明があり、今回の講演の材料となる明治時代の佐賀新聞の特徴について、同時代の新聞、例えば福岡日々新聞に比べるとよりローカルな情報も多く面白い。

・現在、『佐賀新聞に見る佐賀近代史年表』(明治編下)の刊行のための校正作業に追われているが、佐賀新聞日露戦争関連記事は、他の資料と比較しても信頼性が高い。これは、日露戦争には多くの記者が従軍しており、世界に情報が発信されていた。

佐賀新聞も東京の通信社から記事を配信してもらうと同時に小倉に特派員を派遣していた。また、記事もリアルタイムに書かれている。

・県内からは15,000人程度が出兵しているのではないか。当時の佐賀県の人口は64万人程度だった。明治35年(1902)の徴兵検査の結果、6,191人のうち甲種は1,485人(24.0%)であった。

・留守・遺家族に対する「隣保相扶」の精神、地域で貧窮する家族を支えようとしている。このため、多くの寄付が寄せられている。

 以上のように日露戦争について、国内外の動静、県内の動静などを広く紹介された。
 
 現在、「坂の上の雲」(NHK総合)第1部の再放送が始まり、12月4日からは第2部の放送が予定されています。そのためか、参加者の方の関心も高く、日露戦争と当時の佐賀の状況がよく判った、「坂の上の雲」の背景を知ることができて番組が楽しみになったなどの感想をいただき、大変好評でした。

 なお、県立図書館展示ホールでも「坂の上の雲」関連の展示を11月25日(木)から12月21日(火)まで行います


1.期 日:11月20日(土)午後1時30分から午後3時
2.会 場:佐賀県立図書館会議室
3.講 師:市丸利幸さん(いちまる としゆき:佐賀近代史研究会員)
4.テーマ:「佐賀新聞に見る日露戦争−開戦前夜からポーツマス講和条約締結までを、県民生活を中心にたどる−」


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(写真)郷土研究講座の様子