古文書の整理は順調です その4(諸岡家資料)

 こんにちは。

 佐賀県立図書館では、未整備の歴史資料を排架、閲覧さらには活用していただくための基本的な業務である目録作製を行っています。現在、松浦郡入野(いりの)組(現在の唐津市肥前町入野)の大庄屋であった諸岡(もろおか)家に残されていた資料を整理しています。

 諸岡家資料は、諸岡文書と呼ばれることもありますが、県立図書館の他唐津市九州大学記録資料館など数カ所に分散して保存されています。九州大学記録資料館所蔵の資料は既に整理が進み、九州大学のホームページで資料や画像(一部)を検索し、閲覧することができます。

 県立図書館所蔵の諸岡家資料は、幕末から明治期の約1,000点ほどですが、ほぼ全部が周辺の庄屋から当時の諸岡家の当主であった諸岡荒太郎に宛てた書簡です。幕末から明治初期の書簡であり、事務的な内容の中にも当時の庄屋の活動、見聞きしたこと、個人的な思いをうかがい知ることができます。

 荒太郎は最後の入野組大庄屋で、明治2年(1869)になり入野村の里正(後に組長)も勤めます。


 差出人は以下のような庄屋です。
・切木村     伊藤新五右衛門 
・仁田之尾村   中川久兵衛
・針木(晴気)村 草野七郎
・菖津村     日高清治
鶴牧村     鶴田謙三郎
・星賀村     石田栄一郎
・納所村     吉田守之助
・寺浦村     鶴田権六郎、鶴田順作


 小倉にいた庄屋からの書簡には、元治元年(1864)8月5日に起こった4国艦隊による下関砲撃についての記述もあります。このことから唐津藩の庄屋が小倉に派遣されていたこともわかる貴重な資料です。

 諸岡家資料は整理中のため、公開はしばらく先となります。


九州大学記録資料館のホームページは:
http://bunkashi.lit.kyushu-u.ac.jp/search/index.htm


作業風景


(写真)作業風景