涅槃図の調査を行いました

 こんにちは。

 佐賀県立図書館では、郷土の歴史を解明するうえでかけがえのない古文書等の歴史資料調査を行っていますが、本日、佐賀市内の寺院に大切に所蔵されてきた涅槃図を調査させていただきました。また、この寺院には、県立図書館による平成20年の調査で、南北朝時代末まで遡る大般若波羅蜜多経も残されていることが判明していました。

 この寺院では、涅槃図も大般若波羅蜜多経も大般若会等で現在も利用されていますが、これまで大切に保管、利用されてきた歴代のご住職をはじめ、現在のご住職や関係者の方々に深く感謝申し上げます。
今回の調査には、仏教芸術に造詣の深い県立博物館・美術館の担当者にも同行いただきました。

 涅槃図(ねはんず)は、釈迦入滅の状況を描いた仏画で、横たわる釈迦を中心にして、菩薩や仏弟子、会衆や動物にいたるまで嘆き悲しむ情景が描かれています。

 今回の涅槃図は、八相涅槃図(はっそうねはんず)と呼ばれるもので、中央に涅槃図を配し、その左右に釈迦に関わる七つの事跡を描いています。大きさは、縦223.5㎝、横225.0㎝。保存状態も良く、上質な絵の具が使われています。三(御)厨氏重春により描かれ、寄進されています。寄進を受けた住持は元禄14年(1701)に遷化しており、それ以前の作のようです。

  佐賀県内には、高伝寺の涅槃図をはじめとして、多くの涅槃図が信仰の対象として残されていますが、今後修復が必要になるものが多いようです。所蔵されている寺院の関係者の尽力により、良好な状態で未来に受け継がれることを願っています。

涅槃図の調査風景
(写真)涅槃図の調査風景